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野口作戦は上り坂スパート/女子マラソン
<アテネ五輪:女子マラソン>◇22日
マラソン発祥の地で世界最強の新女王が誕生した。野口みずき(26=グローバリー)が夢にまで見た金メダルを手にした。25キロ付近でスパート、28キロからは完全に独走した。綿密に練ったプラン通りの走りで過酷なコースを2時間26分20秒で攻略。世界記録保持者ラドクリフ(英国)、2番目の記録を持つヌデレバ(ケニア)ら世界のビッグネームを抑え込んだ。前回シドニー大会の高橋尚子に続くV2で、マラソン王国ニッポンの底力を世界に見せつけた。
オリーブの冠をかぶった小さな金メダリストが、君が代を小さく口ずさんだ。レースから一夜明けての表彰式。野口は喜びをかみしめるように2大会連続でセンターポールに揚がる日の丸を見つめた。「金メダルを見るたびに涙がこみ上げてくるんです」。感激は時間とともに強くなった。
前夜のことだ。身長150センチの小さなランナーが世界を驚かせた。8人の先頭集団から飛び出した。25キロの給水が合図だった。4キロの間に標高100メートルを駆け上がる最大の難所でギアを上げた。ゴールまではまだ遠い道のり。常識を覆す早いスパートに、ラドクリフ、ヌデレバの反応は遅れた。
「監督の指示通りです」。野口は明かした。後半は下るアテネのコース。歩幅の大きな外国人とスピード勝負になったら分が悪い。だから早めに勝負を仕掛けて逃げた。昨年11月の東京国際で高橋尚子に勝ったアレムが1人だけついて来た。28キロ付近。沿道の父稔さんの顔を確認し、さらに加速した。
「25キロのスパートと、給水に失敗しなかったことが勝因です」と振り返った。強気に、快調に飛ばした。しかし、15キロを超える長い独走は想像以上にしんどかった。「30〜40キロがつらかった。これまでやってきた苦しい練習を思い出して、気持ちが楽になりました」。レース後は軽い熱中症で点滴を受けた。
小さな体は負けん気の塊だ。バネを生かしたストライド走法で、距離が半分のハーフで実績を重ねた。だが、マラソン界では常に「無理」「不利」の声がつきまとった。02年名古屋の初マラソン、石畳のコースだった03年パリ世界陸上、そして起伏が激しく猛暑のアテネ…。野口はそのたび、持ち前の反骨心で雑音を封じ込めた。
歩幅が小さなピッチ走法が全盛の時代に、信念を貫いてストライド走法で金メダルを勝ち取った。これが頂点ではない。「さらにもっと上を目指したい。自分の走りを追求していきたいです」。マラソン発祥の地に、新時代到来を予感させる野口みずきの快走が、しっかりと刻み込まれた。【牧野真治】
[2004/8/24/09:52 紙面から]
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