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山本銀、妻すずに捧げる/競泳
<競泳>◇17日
日本競泳チーム主将の山本貴司(26=近大職員)が、男子200メートルバタフライで悲願の銀メダルを獲得した。高校生代表だった96年アトランタ大会から3大会目。最後と決めた五輪で自身の持つ日本記録を更新する1分54秒56で2着に入った。02年秋に、自由形の元五輪代表の妻すずさん(29)と結婚後、二人三脚で努力してきた成果が出た。バタフライ種目でのメダルは、72年ミュンヘン大会女子100メートル優勝の青木まゆみ以来、32年ぶり。優勝はマイケル・フェルプス(19=米国)で五輪新の1分54秒04だった。
山本が3度目の正直で待望のメダルを獲得した。金ではなかったが、堂々の銀メダル。優勝した世界記録保持者フェルプスに0秒52差だった。山本はとなりのコースのフェルプスと感動の握手を交わした。「やっぱり夢にまで見ていた五輪のメダル。最高にうれしい。フェルプス? (自分が)結構いいところにいるなと、できれば抜きたいと死ぬ気で泳いだ」。26歳の笑顔がまぶしかった。
好スタートを切った。フェルプスから離れず、常に3番以内だった。折り返しの100メートルの時点で自己ベストを0秒04上回っていた。結果は自身の持つ日本記録を約1秒も更新する驚異的なタイム。「行く前から金を狙っていたんですが」は、山本流の照れ隠しだった。
妻にささげるメダルだった。妻すずさん(旧姓千葉)は11日に、29歳になったばかり。山本は6日遅れのだが、生涯最高の誕生日プレゼントを贈った。5年前から本拠を置くカナダでは身の回りのことをすべてして、水泳だけに集中させてくれた。夫婦二人三脚。すずさんにはこれ以上ない恩返しになった。すずさんも五輪に出場したが、メダルには届かなかった。2人の銀メダルだった。
3回目の五輪。1大会ごとに成長してきた。高校生だったアトランタ大会は出場だけで良かった。前回シドニーは、複雑な思いを抱えたままだった。現在の妻で、当時から交際していたすずさんが、日本選手権で日本記録を出しながら選考から落ちた。スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴も却下。山本自身は出場したものの、100メートルは5位、200メートルは9位で決勝に進めなかった。
競技だけでなく、日本チームの主将としてリーダーシップを発揮。今や北島を始め、チームメートから尊敬される存在だ。15年前、大阪市の実家の目の前にあるイトマンスイミングスクールで、当時小学校4年の山本は、中学校1年のすずさんに会った。高校生のころから自然と交際が始まった。メダル候補と呼ばれながら結果を出せなかったすずさん。志なかばで引退した妻にささげるメダルを、山本は3回目の、そして最後の五輪で獲得することができた。
[2004/8/18/09:33 紙面から]
写真=銀メダルの山本は雄たけびを上げる。手前は優勝したフェルプス(撮影・野上伸悟)
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