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レスリング男子、馬に追われ走れ、走れ

「オラオラッ。走れ走れ」。白馬に追い立てられて急坂を上る男子レスリングチーム

 アテネで五輪13大会連続メダルを狙うレスリング男子が、またまた新機軸のユニークトレに挑んだ。長野・菅平で合宿するグレコローマン74キロ級の永田克彦(30=新日本プロレス)ら代表9人を含めた日本チームは、22日の早朝トレーニングで元競走馬と鬼ごっこ。起伏の激しい1周約1000メートルの芝コースを、白馬に追い立てられて必死の形相で駆け上がった。すべてはメダル奪取のために、できることは何でもやる。

 さわやかな朝の高原で、人と馬の鬼ごっこが繰り広げられた。空気を切り裂く野太い声が響く。「オラオラーッ。しっかり走れコラ!」。男子日本チーム富山監督の友人で、馬術で国体優勝経験のある大久保寿広氏(58)が、疾走する愛馬スカーレットの馬上から大声でゲキを飛ばす。上半身裸の選手たちは15歳の牝馬に約40キロのスピードで追い立てられ、一目散にスキー場の急斜面を駆け上がる。ドドドッドドドッ。五輪目前で、白馬にひかれてはたまらない。全員必死。「馬、マジ怖いっす」と、選手から本音が漏れた。

 1周約1000メートルの芝コースを全力で3本走った後、半周を4本。急こう配の上り下りが2カ所あるから、相当にきつい。3本目を終えて思わずあおむけに倒れこんだ永田は「馬に踏まれないように懸命に走った。メチャハード。限界までチャレンジした。途中で本当に死ぬかと思った」と、生還にホッとした表情を浮かべた。呼吸を整える選手を横目に、快速アローエクスプレスの血を引くリードワンダーの娘スカーレットはケロリとして草をはんでいた。

 84年ロス五輪では、直前合宿で馬との鬼ごっこに勝った? 高田裕司(現日本協会専務理事)が本番で優勝している。「あの時は高田を追いかけて、金メダルを取ってきたんだよな」と大久保氏は20年前の思い出を話した。全競技を通じて最多の12大会連続メダル更新を狙う男子には縁起のいいトレーニング。一役買ったスカーレットも吉報を待っている。【岡山俊明】

[2004/7/23/10:56 紙面から]

写真=「オラオラッ。走れ走れ」。白馬に追い立てられて急坂を上る男子レスリングチーム

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