2004年8月30日付紙面から
英語通じないはずが…話せるじゃん!
迷彩服の兵士がマシンガンを抱えて近づいてきた。「写真を撮るな!」と言っているようだった。正直ビビった。でも、なぜだ。おれは何も悪いことをしていない。ビーチバレー会場の写真を撮ろうと、レンズを向けただけなのに。
兵士はいかつい顔で「NO、NO、NO」を繰り返す。怖かったがマシンガンの引き金を引く気配もなかったので、強気に「WHY?(なぜ)」と問い返した。さらに、NOVAで駅前留学中の私はこん身の? 英語で逆襲に出た。「おれはただ美しい競技場を撮りたいだけだ」。「はるばる日本から来て、ギリシャでは写真も撮ってはいけないのか?」。ところが兵士は英語ができなかった。
口論が続き、五輪ボランティアが駆けつけてくれた。誤解も解けた。海沿いに建つビーチバレー会場の横に軍艦が停泊していたのだ。気がつかなかった。兵士は私が軍艦を隠し撮りしていると思ったらしい。ボランティアは「軍艦を撮ったらアテネでは警察に連行されますよ」と言いながら、手錠をかけられたように手首を交差させた。郷に入れば郷に従え。その国のルールに従うしかない。
結局、会場の写真はOKになった。すっかり撮る気もなくなっていたが、3枚ほどシャッターを押した。横にいた兵士はしかめっ面で「YOU GOT IT?(写真撮れた?)」と声をかけてきた。英語、できるんじゃないか!【鹿野芳博】
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