五輪に流血格闘技
古代五輪の「超過激」格闘技パンクラチオンが、本気で近い将来の五輪復活を狙っていることが分かった。当時、目つぶし、かみつき以外何でもありのルールで人気だったが、ギリシャ・パンクラチオン連盟では「今はスポーツ格闘技になった」と強調。競技人口はまだ数千人だが、五輪を最大限に利用し売り込みに必死。この日、古代五輪の開催地オリンピアで模範試合をしてアピールした。
アテネ中心部オモニア広場近くにある、ギリシャ・パンクラチオン連盟(EOPA)本部にいたラザロス・サヴィディス会長(43)は開口一番「われわれは古代五輪の人気競技であったパンクラチオンを、将来、五輪によみがえらせたいと思っている。次の北京は無理かもしれないが、その次以降を狙っている」と話した。
パンクラチオンとは殴る、蹴る、絞める、関節を折るなど、ほぼ何でも許された古代五輪の「ノールール格闘技」。時に殺し合いになる内容に観客は熱狂したという。とても近代五輪採用は無理な過激さだが、同会長は強く否定。「当初、ルールはきちんと整備されていたが、ローマ時代になると、流血が当たり前の殺し合いに変わってしまった。近代五輪で血を流すことなどできない。当初と同様、きちんとしたルールのスポーツ競技にした。子供や女性も参加しているんだ」。
連盟は02年、約15年の競技経験がある同会長が中心となって発足。スポーツ化を進め、現在は約30カ国に選手がいて、世界選手権もある。しかし、競技人口はわずか3000人程度だという。それだけに「五輪便乗売り込み」に必死だ。17日夜、古代五輪開催地オリンピアの市役所前で、パンクラチオンの模範試合を行った。また、同会長は最近、パンクラチオンの概要をまとめた本を出版。関係者にその存在をアピールしまくっている。
同会長によると、スポーツ競技になったパンクラチオンは、白い上着に青いズボンの競技服と拳のサポーターなどを着用。ルールの中で空手、柔道、レスリングなどの技をすべて使い、ポイントとギブアップで争う、いわゆる「総合格闘技」になった。現在、最強は90キロ級王者で20代後半のコンスタンティノス・スケパルケヌス選手。PRIDE、K−1など有名格闘技団体のリングで強豪選手と戦えば宣伝効果大のはずだが、同会長は「彼がその種の団体で戦おうと思えばできるが、する必要がない。われわれは金や知名度を求めていない。古代五輪のパンクラチオンの精神を、近代五輪で復活させることが必要なのだ!」とあくまで真剣に五輪を狙っている。
◆パンクラチオン
古代五輪第33回大会が行われた紀元前648年から採用された、レスリングとボクシングを合わせたような格闘技。素手に全裸で相手がギブアップするか戦闘不能になるまで行い、禁じ手は目をえぐることと、かみつき程度だったという。あまりの過激さに、優勝直後に死亡した選手もいたとされる。古代五輪廃止後、ギリシャ・パンクラチオン連盟発足まで長らく衰退していた。同連盟が整えた近代パンクラチオンは、総合格闘技ルールのほか1対3で戦う型など3種の競技がある。
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