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井上もメダル王手/レスリング
<アテネ五輪:レスリング>◇28日◇フリースタイル男子60キロ級
井上謙二(27=自衛隊体育学校)が、銅メダルを獲得した同55キロ級の田南部に続く。1次リーグ初戦を落とした井上だが、その後ばん回して2勝1敗で準決勝進出を果たした。高校時代タイトルを総なめにした大器が、両ひざの故障など低迷期を乗り越えて、アテネの大舞台で88年ソウル大会以来16年ぶりの金メダルを狙う。
井上が奇跡の準決勝進出を決めた。4人による1次リーグ、初戦のウズベキスタン選手に逆転負けした。しかし、あきらめることはなかった。ベスト4入りをかけたリーグ最終戦。この時点で1勝1敗で4人が並んでいた。大量得点を挙げて勝てば、1次リーグ突破の可能性が広がる。
「絶対勝とうと思った。フォールかテクニカルフォールを狙っていた」。序盤から、オーストリアのチケルを圧倒。テクニカルフォールを奪った。次の鄭栄鎬(韓国)もフォール勝ちして勝ち点8で並ばれたが、直接対決で勝っている井上の準決勝進出が決まった。しかし、公式記録は敗退。驚いた日本協会の福田会長ら関係者が確認に走り、記録が訂正された。ドタバタの末の準決勝進出に「みんなの応援が励みになった」と笑顔で話した。
京都の名門網野高時代から将来が嘱望されたが、3年前の両ひざのけがで代表が遠のいた。前十字じん帯を手術し、関節の間には人工じん帯が埋められた。「翌日に激痛で涙が出た」という経験を乗り越え、徐々に以前の力を取り戻していった。全日本は1度も優勝していない。2月の五輪2次予選で優勝し、出場枠を獲得。4月の全日本選抜でも優勝し、全国で無名に近かったシンデレラボーイが階段を駆け上がった。昨年の夏前には左の腎臓がないことが分かり、直前の合宿では鼻骨を骨折した。満身創痍(そうい)の体にむち打って精進してきた井上。「金メダルを目指し、あと2試合がんばりたい」。88年ソウル大会以来の金メダルの夢が、井上に託される。
[2004/8/29/09:23 紙面から]
写真=チケルをテクニカルフォール勝ちで下した井上(右)(撮影・宇治久裕)
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