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ハンマー金のアヌシュ、疑惑の引退声明

 陸上男子ハンマー投げの金メダリスト、アドリアン・アヌシュ(31=ハンガリー)が抗議の引退を計画していることが分かった。26日、アヌシュの秘書がハンガリーの国営通信社に明かした。国際オリンピック委員会(IOC)がドーピング(薬物使用)の再検査を実施する方針を固めたことに反発しての言動だが、引退で疑惑に強引に終止符を打つ狙いもありそう。

 ドーピング疑惑の渦中にいるアヌシュが、大胆な行動に出た。26日、ガボール秘書を通じて自国通信社に声明を発表した。「IOCは同僚と私にドーピングの疑惑をかけた。侮辱されたまま帰国はできない。引退を計画している」。引退することで潔白を証明する決意を示唆した。

 アヌシュは22日のハンマー投げ決勝で金メダルを獲得。IOCも「検査は正規の手続きで行われた」としていた。しかし、25日に日本オリンピック委員会(JOC)が徹底調査を文書で要請。26日になって「疑いを抱いている」と再検査する意向を示した。

 疑惑には理由がある。23日の円盤投げで金メダルを獲得したファゼカシュが、その後のドーピング検査で25CCの尿しか提出せず、規定量の尿検体の提出を拒否して失格となった。アヌシュも同じコーチの指導を受けていたことで、疑いは一気に深まった。日本陸連がJOCを通じて調査を求めた動機も、まさに同じだった。陸上だけでなく重量挙げのハンガリー選手も尿が出ず、最後は検体の提出を拒んで失格。国のスポーツ機関ぐるみでドーピングをしている可能性もある。

 潔白を強調するアヌシュだが、再検査に応じれば問題のないこと。引退することで今回の騒動に強引に幕を下ろしてしまおうという意図もうかがえる。五輪でメダルをはく奪されたドーピング違反者として競技を続けるよりも、金メダリストのまま歴史に名前を残す方が本人にとってもはるかに名誉だからだ。

 26日午後になってアヌシュがハンガリーの自宅に戻っていることを明らかにした。「今は家族といる。引退の決断に関しては来週発表する」という声明を発表した。IOCは大会終了までを「五輪期間」と定めている。29日まで再検査が行われて、違反があれば失格となる。わずか28センチ差で敗れて銀メダリストとなった室伏の金メダルに繰り上がりが現実味を帯びてきた。

[2004/8/27/09:29 紙面から]



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