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世界一持てる男!レザザデV2/重量挙げ
<アテネ五輪:重量挙げ>◇25日◇男子105キロ超級
英雄ヘラクレスの伝説が残るギリシャで、21世紀のヘラクレスが誕生した。男子重量挙げ最重量の105キロ超級で、ホセイン・レザザデ(26=イラン)が異次元の強さを発揮。ジャークで世界新の263・5キロを記録し、トータルでも自らの持つ世界記録タイとなる472・5キロで、2位以下に17キロ以上の大差をつける圧勝。シドニーに続く連覇を達成した。「世界一の力持ち」の次の目標は、人類初の500キロ突破。21世紀の怪物が、人類の限界に挑む。
次元が違った。ほかの選手がプルプルと震えながら挙げるバーベルを、笑顔で持ち上げる。バーベルを頭上に掲げたまま、観客席に向かってウンウンとうなずく余裕まである。苦しそうな顔もない。足もとが乱れることもない。シドニーで世界舞台に現れた怪物は、ヘラクレスの神話が残るギリシャでも他を圧倒した。
ジャークでは、60億人の世界人類でレザザデしか挙げられない263キロの世界記録を3回目の試技で更新。トータルでも2位以下に17キロの大差をつけて五輪を連覇した。「私は一生懸命練習し、アラーの神が力をくれた」。世界新を達成すると床にキスし、額をつけ、殉教したイスラム教の聖者で勇気の象徴「アバルファズル」の名を叫んだ。
強さは、周囲の反応だけで理解できる。00年、シドニー五輪でいきなり優勝。敗れたバルセロナ五輪金の実力者ウェラー(ドイツ)は「彼は何者だ? 宇宙人か。まるでスピルバーグの映画を見ているようだったよ」と言った。この日銀のスチェルバティス(ラトビア)は「勝とうなんて思うわけがない。今まで見た中で最強の男だ」。最初から金メダルは決まっていた。
圧倒的な強さに、トルコからは国籍変更まで打診された。月給2万ドル(約220万円)に別荘と無人島、アテネ五輪金ならボーナス11億円という破格の条件。しかし、レザザデは「私はイランのために戦う」と拒否。国の英雄はさらに人気を増した。この日、イランの最高指導者ハメネイ氏は「数千万の国民に喜びを与えてくれたことを感謝する」と声明を発表した。
圧倒的な強さだが、さらに記録は伸びるという。160キロの愛らしい肉体に短い腕。驚異的な背筋力と瞬発力でバーベルを挙げるフォームには多くの改善の余地がある。7位のハマン(米国)は「彼の技術はまだ向上する」。コーチのイバノフ氏は「人類初の500キロを達成するなら彼だ」と話す。五輪連覇の次の目標は、もう決まっている。
ドーピング渦の今大会、16日には女子48キロ級のナン(ミャンマー)に薬物違反が発覚し、今大会の失格第1号になった。その後も次々と違反者が出るなど重量挙げに逆風が吹いている。「わが宗教はドーピングを禁じている」と言い切るレザザデの強さと笑顔は、イメージアップにつながる。
イランの首都テヘランでは、金メダルに白黒テレビの前で国民が沸いた。花火も上がった。「重量挙げは古代から続くスポーツだ」とレザザデ。人類の歴史と限界は、現代のヘラクレスが塗り替える。
[2004/8/27/09:29 紙面から]
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