| 紙面ニュース |
|
 |
 |
100M女王は無名のネステレンコ/陸上
<アテネ五輪陸上:女子100メートル決勝>◇21日
無名のスプリンターが、五輪女王の座に就いた。陸上女子100メートルは、伏兵ユリア・ネステレンコ(25=ベラルーシ)が10秒93で制した。五輪、世界選手権とも実績がなかったが、本命なき混戦の中を一気に駆け上がった。これで母国からのボーナス6万ドル(約660万円)を獲得。米国勢が5大会連続で独占していた「最速の女」のタイトルを、ついに動かした。
「あれは誰?」。女子100メートルの号砲から約11秒後、五輪スタジアムが歓声と同時にざわついた。ウイニングランの主は、無名のネステレンコ。取材ゾーンではベラルーシ人記者が世界各国のメディアに囲まれ「彼女のことを教えてくれ」とせがまれた。
五輪に来る前の自己ベストは今年6月の11秒02。それが1次予選で10秒94を出すと、その後の3レースもすべて10秒台。決勝ではダイナミックなフォームでゴール前10メートル付近で先頭に立った。「この勝利をベラルーシの人たちにささげます。そう叫びたい。みんなにキスしたいくらい。地元の人たちはきっと喜んでくれると思います」。
学生のころから足が速く、友人と競っても負けなかった。夫ドミトリーも陸上選手。住む場所やマッサージ担当者を昨年変えたところ、グンと実力が伸びた。五輪は初参加。昨夏の世界選手権(パリ)は400メートルリレーで7位に入賞した程度。今年はグランプリ最高峰のゴールデンリーグで勝利を挙げたが、目標はあくまで決勝進出だった。
03年世界選手権覇者のホワイトは禁止薬物使用で出場できず、前回女王のジョーンズは米国予選で脱落。ビッグネーム不在の混戦を制し、84年ロサンゼルス大会から続く米国勢の連覇を5で止めた。「今、私は笑っていないけど、それは疲れているから。早く帰って、家族と過ごしたいです」。五輪制覇により、国から6万ドルの報奨金が出る。新女王はもう、無名ではなくなった。【佐々木一郎】
[2004/8/23/08:52 紙面から]
|