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上原8回3失点9勝目!1000投球回達成

5回裏終了後1000投球回を達成し同じ五輪組の高橋由(左)に祝福される上原(撮影・矢木隆晴)

<巨人12−3ヤクルト>◇3日◇神宮

 エースの仕事にひと区切りつけた。巨人上原がヤクルトを8回3点に抑え、今季9勝目を挙げた。1、2回に失点するも3回以降は立ち直り、アテネ五輪前最後の登板でチームを勝利に導いた。中日は福留、岩瀬ら五輪組の活躍で50勝に到達した。五輪日本代表選手24人はこの日を最後に一時チームを離れ、今日4日に成田空港近くのホテルに集合。明日5日、直前合宿地のイタリア・パルマに向けて出発する。

 湿った風をほおに受け、上原は神宮の夜空に誓った。「アテネに行って、由伸と一緒にやるべきことは分かっているので。(日本代表)24人で力を合わせ、金メダルを狙います」。今季初の完投勝利こそ逃したが、8回127球を投げきった。5回登板で通算1000イニングも達成。大勝に興奮するでもなく、淡々とアテネ五輪での活躍を約束した。

 エースの証しを随所でみせた。稲葉に先頭打者アーチを見舞うなど、2回までに3失点。だが、3回以降は無失点に抑えた。4回からはセットポジション。8回、小野から珍しくカーブで三振を奪取。「1、2回は悪過ぎたので、どうなるかと思ったけど、その後は気をつけながら、抑えることができた」。異国アテネではマウンド、気候など不慣れな環境が待っている。修正能力の高さは大きな武器となる。

 シーズン、五輪ともに勝つ。これが今年のテーマだった。5月、左太もも痛に襲われたが、フォーム矯正で乗り切った。踏み出しの歩幅を狭め、本来のダイナミックさは影を潜めた。それでも、故障を抱えながらもマウンドに立つ手段を探し、下半身に負担の少ない投げ方に切り替えた。池谷投手コーチは「スパイク半歩分だけど、シーズン中に変えて、勝つのはとんでもないことなんだ」と適応力に舌を巻く。今までの姿を捨ててでも、テーマへの執念で投げ続けた。

 試合前のミーティングで、ナインに五輪での健闘を誓った。高橋由とともに「日本代表として頑張ってきます」と話し、仲間に後を託した。ナインも、2人の背負うものを感じていた。「日の丸を背負うプレッシャーはものすごいんだ。夜も眠れないプレッシャーの中で戦うんだ」と後藤は話した。“戦地”に行く2人を、ナインは4発12点と豪快に送り出した。

 初回、投球練習を始める前、かがんだ上原は、右手をそっとマウンドに触れた。約1カ月離れる日本のマウンドへの、別れのあいさつだった。いとおしさ、寂しさ。そして、必ず笑顔で帰ってくる、そんな決意もにじませた、優しいしぐさだった。「帰ってからも、シーズンはあるからね」。五輪、ペナントと、2度の笑顔へ、舞台はビジョン通りに整った。【金子航】

[2004/8/4/10:12 紙面から]

写真=5回裏終了後1000投球回を達成し同じ五輪組の高橋由(左)に祝福される上原(撮影・矢木隆晴)

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