輝いた!3人のシンクロ人生集大成
<シンクロナイズドスイミング>◇25日◇デュエット・フリールーティン決勝
ただ涙だった。プールから上がった立花美哉(29)と武田美保(27)が、そして教え子を抱きかかえた井村雅代ヘッドコーチ(54)が、万感の思いに目を腫らした。
シンクロナイズドスイミングのデュエット決勝で、日本ペアはアテネの夜空に感動を巻き起こした。今季限りで引退を決意している両選手と、日本代表の指導から身を引くことを決めている指導者。3人のシンクロ人生の集大成は、ロシアに届かず銀メダルだったが、輝きは最高だった。
2人の距離感−。打倒ロシアへの課題は、接近して泳ぐことだった。女王のロシアのペアは、両者の体が近いことが高く評価される。タイプの違う立花と武田が距離を縮めることは、歩んできた道でもあった。
ペア結成は97年。身長170センチで脚線美が持ち味の立花に、165センチでセンスのある武田。「脚の形も体の柔らかさも背の高さも違う」。武田には驚きだった。かつての日本のエース奥野史子と組んだ経験のある立花は、誰とでもやれる自信があった。
性格も違った。立花は謙虚にコツコツ努力するタイプで、武田はポイントを押さえるのがうまく、華やかさを好む。当初は、井村ヘッドコーチがそれぞれに「美哉の脚を見習いなさい」、「武田の音の取り方を見習いなさい」と指示しても、真剣に取り合わないほどライバル意識を持っていた。
00年のシドニー五輪で銀メダル。翌年の世界選手権(福岡)で念願の優勝を果たし、きずなは深まった。1つの区切りをつけ、02年のシーズン後には、2人は競技を続けるか悩んだ。その時、井村ヘッドコーチは2人で相談することを勧めた。「メダルを狙うなら美哉さんしかいない」と武田は打ち明けた。ともにアテネまで戦うことを決意した。
この日の決勝前。「お互いを感じなさい」。こう言って井村ヘッドコーチは2人を送り出した。「タケ(武田)の力がないと世界は狙えない」。「金メダルを狙うには、相手は美哉さん以外絶対無理」。水の中で体も心も距離も縮めたからこそ、すべての力を出し切れた。「あの子たちに、世界に本気で挑戦する楽しさを教えてもらった。やり残したことはない」。鬼コーチは、世界一以上の勲章を2人に授けた。(共同)
[2004/8/26/11:52]
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