2004年8月18日付紙面から
アテネのオートバイ乗りは、気持ちが悪いくらい親切だった。当地入り2日目の夜、借りたばかりのレンタカーで宿に向かった。午前3時ごろ、ちょっとしたミスで道に迷い、30分間さまよった末に、車内で少し仮眠を取ることにした。
5分もしないうちに外が明るいことに気づいた。体を起こしてみると、車の周りにハーレーが3台が止まっている。少し迷ったが思い切って「キフィシア通りはどうやって行けばいいのか」と訪ねてみた。無視されるのは覚悟の上、方向だけでも教えてもらえればと思ったが、3人のうちの1人が「おれたちについて来い。その通りまで案内してやる」と予想外の反応で、バイクのエンジンをかけ始めた。ほかの2人も同様だ。正直、不安感の方が高まった。ここでは「サンキュー」という言葉以外に出なかった。何とも情けない。
いざスタートすると、バイクが前方と左右のポジションについて車の先導を始めた。これが一番怖かった。まるでVIPの先導。この異様な光景が5キロほど続いた。もちろん帰りの道を覚えるほどの心の余裕はなかった。
「このまま、宿まで行くよ」と言われたら困るなと思っていたが、目的の通りに出ると例のフォーメーションを解いて、バイクも停止。「ここがその通りだ。気をつけてな」と笑顔であいさつ。さらに「同じ道をグルグル回っていると思ってたら、やっぱり迷っていたな」とつけ加えた。道に迷っていたのに気付いていたらしい。何とも親切なギリシャ人ライダーたちだった。【山口晃】
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