「聖地」オリンピアに閑古鳥
どこもかしこも「五輪景気」でウハウハだろう…と思っていたら、甘かった。18日に砲丸投げが行われる古代五輪発祥の「聖地」オリンピアまで遠征してみたところ、地元業者らは五輪効果どころか、厳戒ムードや物価高で客が逃げちゃったとヒーヒー言っていた。8月のホテル予約数は、昨年比半減は当たりまえで、10分の1に激減という例まであった。「現実はこのざまだ」(ホテル主人)。お祭りの裏の悲惨な実態。
アテネから西に約320`、車を猛スピードで飛ばして約4時間。12日、ペロポネソス半島西部、山間の小さな町オリンピアに到着した。メーンストリート沿いには五輪の垂れ幕が多数掲げられ、一見お祭りムード。ご存じ、ここは古代五輪発祥の聖地。今回、古代「スタジアム」遺跡で18日、約1万5000人の観客を集めて砲丸投げが行われ、1611年ぶり五輪復活となるのだ。
人口わずか1000人弱の町だから、爆発的五輪効果があるに違いない。特に、町全体で1500床しかないホテルはパンク状態なはず。
まずオリンピア屈指の豪華さを誇る「オリンピアパレス」へ。だがフロントは薄暗く、だれもいない。やっと職員を見つけて話すと、衝撃的事実が発覚した。「18日の前後数日だって部屋はまだ、全65部屋中15部屋ぐらい空いてるざまさ」。部屋の料金も2割アップした程度なのに。「昨年は8月、毎日8割の部屋が埋まっていた。でも今年は平均して1割しか埋まっていない…」という。
近くの「ホテルNEDA」はもっと悲惨。経営者の男性は開口一番「8月はまだ5%程度しか埋まっていない。昨年の10分の1というひどい状態。当日の18日も半分だけ。五輪効果って言うけど、これが現実なんだぜ」とため息をついた。
「ホテルクロニオ」は五輪を前に、部屋を全面改装する気合の入れようだったが、あてが外れがっくり。老主人は「料金は上げてないのに18日前後も3分の1空いているし、8月の予約数は平均して昨年の半分。五輪効果? 何〜にもないね」と肩を落とした。
オリンピア遺跡内の「スタジアム」へ。すり鉢状の芝生が雄大に広がる中、作業員4、5人が関係者席を設営していただけで、飾り付けなどは一切なし。五輪が行われるとはまったく分からない静けさだ。
オリンピア市役所で、市長特別顧問アポストロプロス氏(61)に話を聞いた。「全ホテルには1500人しか収容できないから、あふれて近くの町に泊まる人が多いのではないか。ここはギリシャの聖地。五輪運営については何も心配していないよ」と自信満々だが、現実とはあまりに違いすぎる〜。
観光業者の話を総合すると、厳重な五輪警備や物価高が、閑古鳥が鳴いている理由という。オリンピアから帰ろうと道を歩いていると、みやげ店の男性店員が必死に日本語で「ヤスイ ! ヤスイ ! 買って ! 」と迫ってきた。
◆古代五輪メモ
紀元前776年にオリンピアで発祥。西暦393年までの1169年間、最高神ゼウスに捧げる祭典として行われた。ローマ期、異教を禁じたテオドシウス1世によって終了させられ、426年にはオリンピアの聖域が破壊された。6世紀には大地震が起き、オリンピアは地中に埋もれてしまった。1875年、オリンピアは発掘され、1896年、アテネで第1回の近代五輪が開幕した。
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