客足激減で売春婦デモ
五輪開幕が迫り、アテネはお祭りムードに突入した。でもそのウラ側では…いろんな、びっくり事情がぼっ発。中でも激怒しているのが、国から売春を認められている公娼(こうしょう)たちだ。「五輪特需」を見込んだものの、急増した東欧などからの不法売春婦が野放し状態のため客足が激減。「商売上がったりだわ」と、公娼組合が当局にデモを繰り返す異例の事態に発展しているのだ。早速、公娼店を直撃した !
アテネ第2の繁華街、オモニア広場。雑然とした街を少し歩き、路地に入ると、玄関の上に電球をともした灰色の建物が数軒並んでいた。これが政府に公認されている売春女性がいる店。医者などと同様、公認された立派な「職業」なのだ。
今、アテネには五輪関係者が続々と入ってきている。だから「五輪特需」が起きているに違いない。そうニラんで、うち1軒の「エヴァ」を直撃すると、経営者のおばさん、マルガリータさん(年齢非公開)がいきなり興奮気味に完全否定した。「五輪を狙って、東欧などから不法売春婦が最近急に増えてお客をとられたの。でも警察は野放しにしている。うちなんか数年前は1日20人、客がいたけど、今は8人くらい。まじめな店がなぜひどい目に遭うの? 商売上がったりだわ ! 」。
そのまま店内へ。薄暗い内部には、ベッドルーム2つと、豪華待合室があった。マルガリータさんがさらにボルテージを上げる。「あと、五輪関係者が全然来ない。調べたら、五輪関係者やVIPが泊まっているホテルに、女性が頻繁に出張しているの。それも違法なのに…」。
店の奥にいた身長約180 センチ のド迫力公娼、エヴァ嬢(年齢非公表)がTバック姿で登場。推定20代後半。手に「公娼登録証」など3種類の証明書を持ち、大声で「私はちゃんと政府の公認を受けているのよ。うちは1回50 ユーロ (約6800円)で、東欧の女性たちは100 ユーロ (約1万3500円)なんだけど、彼女たちはコンドームなしでやらせるから人気なのよ。でも政府が野放しにしている。おかしくない?」と五輪特需なしの理由を説明した。
実はこの直前、アテネ市役所で売春問題の担当者に話を聞いていた。担当者によると、公認は、保健省と市役所の2カ所で得る必要がある。店の近くに学校や教会がないことなどが条件。ただ公認店は少なく「私の知る限り、認可されるのは200業者のうちわずか1業者程度の割合です」(担当者)という。
「エヴァ」を出て、別の公娼店へ。こちらの女主人も、政府のやり方に怒りをぶちまけた。「不法売春は摘発しないのに、国は公娼ばかり締めつける。売春はいろんな人を助ける世界最古の職業よ。実は私たち、政府に対してデモもしているの ! 」。隣で30代半ばぐらいの眼鏡をかけた公娼が、うなずいた。
「売春デモ」なんて本当か? 公娼組合組織「ギリシア公娼運動(KEGE)」のカネロプル会長に聞くと「本当。デモは国会前などで今年2回やったし、これからもいつでもやる用意はある」と宣言した。公娼問題は、社会運動にまで発展していたのだ。
実際、不法売春外国人は夜、各所にいた。アテネ中心部のシングルー通りには、東欧系女性が何人も立っていた。そういえばエヴァ嬢の取材は約1時間に及んだが、その間、客はゼロ。しまいには「陰茎を見せろ」としつこく言い出したから、公娼はよほど暇なことは間違いない。ただ、客足激減の一因が彼女らの容姿にもあるかどうかまでは不明だ。
◆ギリシャの売春事情
99年に合法化されて以来、これまで国内で約7000人の女性が公娼登録したといわれる。一方、五輪を狙ってルーマニア、ロシア、ウクライナなどから流入して売春する不法滞在女性も急増し、ギリシャ内務省によると約7万人に達しているという。国内での売春は大きく分けて ∧1∨ 公娼 ∧2∨ エスコートクラブ ∧3∨ 秘密売春 ∧4∨ 街頭の4種類ある。KEGEによると、 ∧1∨ は現在アテネ周辺だけで公娼約700人、公認売春店は約230ある。 ∧2∨ は新聞の広告などに電話番号を出し、客の滞在先に出張する。「ジャパニーズレディー」と宣伝している業者もあったが、利用客によると「来たのはタイ人」。 ∧3∨ は地元に詳しい人しか分からない形態の店で、昼間喫茶店や画廊を営んでいる場所が夜だけ、売春宿に変わるタイプだ。いずれも料金は20〜100 ユーロ (約2700〜1万3500円)。
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