2004年8月20日付紙面から
赤血球でわかる松坂の勝負強さ
五輪は重圧との戦いでもある。野球のエース松坂くんが宿敵キューバ戦で頼もしい限りの好投を演じた。彼の勝負強さの理由は、いったいどこにあるのか? 私は彼のプロ入り以来、血液検査で分かる強烈な個性に注目してきた。
一般血液検査の1個当たりの赤血球の大きさを示すMCV(平均赤血球容積)は正常値が84から110fl(フェトリットル)。人はストレスを受けると赤血球は大きくなる。つまり、この数値が大きいと重圧を感じており、小さい方がストレスに強く本番に強い。
ラグビーやサッカー、格闘技の選手は練習時からケガの危険性も高く、常にMCV98以上と高め。重圧を受けたボクサーなどは100を超えることもある。巨人清原さんは通常95前後だが、絶好調で気合が入ると92に下がる。ただ、日本シリーズ直前は、さすがの番長も98まで上がる。
私のクリニックでは、年間8000人のアスリートの血液検査をしている。ベストはMCV85から87。それはメッツ松井稼、巨人桑田、ゴルフ丸山、片山、ハンマー投げの室伏、ボクシングの元世界チャンプ畑山ら。その中でも、ずーっと1位を維持しているのが松坂くん。彼は大試合の時もMCV85を保っている。重圧に強いはずである。
選手をコンディショニングする際は、なるべく中身が濃く(鉄分や酸素が十分)、毛細血管の隅々まで入り込む小さな赤血球を作る。パフォーマンスの向上はもちろん、ねんざや肉離れなどケガの予防にもなる。野球で言えば、先発向きかストッパーか、サヨナラ安打を打てるタイプかもMCVにかかる。
MCVの改善には日ごろからたっぷりの鉄分、ビタミンC、Eを含んだブロッコリー、小松菜、しそ、パセリ、かぼちゃ、にら、トマト、ピーマン、焼きのり、昆布、せん茶、ナッツ類、サプリメントなどを摂り、気持ちの切り替えを上手にすることがポイント。さっと寝て、さっと起きる習慣も大切である。
重圧に勝った松坂くんの快投と大歓声を、私は一生忘れないでしょう。(平石クリニック院長)
◆平石貴久(ひらいし・たかひさ)1950年11月4日、鹿児島県生まれ。東京・六本木「平石クリニック」院長。専門は内科、スポーツ医学など。サッカー、野球、陸上、ゴルフ、格闘技など多岐に渡る種目で選手、チームの健康管理を担う。
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