2004年8月17日付紙面から
なでしこ支えるスタミナと知恵
アテネの日中は気温約40度の暑さ。この環境での戦いは過酷を極める。14日に女子サッカー日本代表の試合を観戦した。キックオフの午後6時でも、ピッチ上は気温36度、湿度50%。しかも、敵は赤道直下のナイジェリア。「なでしこジャパン」より、暑さに慣れている。
ちょっとしたマークのずれから決勝点を奪われ惜敗したが、肉体の強度とスタミナは数十%相手を上回っていたと思う。暑さに強いはずのナイジェリアも、終盤は足が止まりかけていたが「なでしこ」たちはスピードが落ちることもなく果敢に攻め続けた。
体重60 キロ の女子選手の体内にプールされているエネルギーは通常、約760キロ カロリー 。これを野球で消費するには「本格派投手の松坂くんが試合で120球」「捕手の城島くんが延長11回を大活躍」となる。しかし、サッカーなら約60分、マラソンでは14・5 キロ 地点でエネルギーは枯渇してしまう。以降はまさに身を削る戦い。このハードさに耐えるには、想像を絶する練習があっただろう。
それは上田栄治監督(50)の存在なしに語れない。私がメディカルアドバイザーとして平塚(現湘南)にいたころ、彼は強化担当。中田英寿選手ら若手のわがままを聞きながら、フロントとの間に立っていた。すべての聞き役であった。
その後、平塚の監督から、暑いマカオの代表監督へ。その間も協会と現場の間に立っていた。やはり若い選手の気持ちを知り、優しさと同時にプロの厳しさを選手に教え込んだ。そんな彼が監督だからこそ、選手はあれだけの技術とスタミナ、組織プレーを身に着けていったと思う。
また試合でも、上田監督は選手の発汗の多さに、後半から水のボトルを6本増やすなど工夫をしていた。暑さの中で戦う術を知っている。何とかメダルを取ってほしい。頑張れ、なでしこ ! 頑張れ、栄治 ! (平石クリニック院長)
◆平石貴久(ひらいし・たかひさ)1950年11月4日、鹿児島県生まれ。東京・六本木「平石クリニック」院長。専門は内科、スポーツ医学など。サッカー、野球、陸上、ゴルフ、格闘技など多岐に渡る種目で選手、チームの健康管理を担う。
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