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後藤新弥のDAYS'
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2004年08月25日更新

おちんちん欲しい

<女子レスリング吉田の笑い・浜口の涙>

 吉田沙保里は、父が元日本王者の栄勝さんにレスリングを教わり、世界に例をみない鋭いタックルで、ついに金メダルを獲得した。

 父が果たせなかった五輪出場の夢を受け継ぎ、頂点に上り詰めた。

 吉田氏は、自宅を改造して10メートル四方の道場を造ったが、広さは十分ではない。

 「だからレスリングのすべては学べない。タックルしかできない。だけどその気なら世界一のタックルを習得できる」と、タックルに磨きをかけたそうだ。

 日刊スポーツ24日付の1面(地区によって異なります)に金メダル特ダネが載っている。兄の練習を見て、吉田もやりたがった。女の子は見ているだけ、と言われると、ワタチもおちんちん欲しいと言って、母を困らせたという。これを読んで、テレビ朝日スーパーモーニングのキャスターが、「ははあ、だから金、か」と、ぼけて、隣の美人アシスタントを困らせていた。

 女子レスリング4種目で2つの金、銀1つ、銅1つ。

 やった。

 浜口京子は、呆然としていた。

 準決勝で、電子掲示板のポイントが間違って表示されたこともあり、ラストの反撃が届かず、敗退した。相手が1ポイント差で勝っていたのに、表示では浜口の1ポイント優勢になった。さらに相手が2ポイント取った後も、逆に出ていたため、ラストで大技の逆転を試みず、そのまま「正式には」負けてしまった。

 レスリングでは、試合中、経過時間とポイント差を確認しながら次の手を考える。その判断が重要な要素のなっているため、浜口にはあまりにも不運だった。

 父親はまさにアニマルと化して、スタンドで吠えた。暴れた。警官2人が取り押さえた。

 けれど浜口は右目を大きく腫らしながらも、3位決定戦に悪びれずに出場し、果敢に攻めて、そして銅メダルを取った。

 終わって笑顔になり、中に進み出て、マットにキスをした。

 「あれは、レスリングありがとう、というつもりでした」。

 冷静に振り返ると、あの試合はやはり負けていたと思う、好きな温泉に入って、また出直します、銅メダル、うれしかったです、と記者会見した。父親も「冷静さを欠いた。さあ、明日から北京だ」と話し、娘を抱き寄せた。

 こういうのって、フェアプレーだと思う。

 今大会の五輪で、ベスト。

 フェアプレー賞候補だ。

 レスリングにありがとう。

 こういう気持ちは、恥ずかしいけど、すばらしい。

 町での、話題。

 女子選手が活躍している。

 女性上位、という言い方があるが、「男子が活躍することで、時差が出る場合もあるが、女子も伸びてくる。男子が土台を築き、広げることで、女子がブレークするスペースが生まれる」という言い方を、多くの関係者がしている。いかにも「男子あっての女子」に聞こえそうだが、そういう意味ではない。

 女性の競技や種目が一気に増えたこともあるだろう。日本がメダルを取りやすい種目が。

 また女性が「実業団」という枠がなくとも、自立して、バイトしてでも好きなスポーツに打ち込める環境になってきたことも大きい。社会背景と、密接な関係がある。

 国のため論議も人気? がある。

 「昔は、国を背負い、国のためにと言う悲壮感があった。今の子は、自分のためにという楽しさを持っている」と、特に年配で、自分はスポーツをしない人たちが言う。

 それもまた見方だろう。

 しかし現実には、今大会の選手は「日本を代表する誇りと喜び」を背面に持ちながら、ベストを尽くすことを心がけているように見える。昔の「国」とは違うかもしれないが、「国のためなんかじゃない、オレのためだ」などと息巻く者はあまりみかけない。そういう「自分のため」を過剰意識していたのが80年代から90年代初めだった。

 皮肉なことに、そいう過剰意識の時代は、日本は五輪で活躍することができなかった。

 あるいは「プレッシャー」ということを過剰に意識をし、逆に自分を守りすぎた時代、とも言える。心理学を過剰に信じ込もうとし、トレーナーや「裏方さん」に過剰にスポットを当てて、頼ろうとした時代だ。科学に対して、非科学的なほど安易な奇跡を願った時代だ。

 その傾向は残ってはいるにせよ、今、ようやくトンネルを抜け始めた。

 勝てなかった時代、何があったのか。あるいはその時代の何の蓄積が今回の金ラッシュにつながったのか。プラス、マイナスを検証しておく必要がある。

著者の言葉
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 【郵送宛先】 郵便番号104・8055 日刊スポーツ新聞社 編集局 後藤新弥

著者プロフィル
 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、58歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
 本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
【 詳細プロフィルへ

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