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室伏V10!父に並び妹と五輪へ/陸上

82メートル09を投げ、大会10連覇を達成した室伏(撮影・宇治久裕)

<陸上:日本選手権>◇最終日◇6日◇鳥取県立布勢総合運動公園陸上競技場

 男子ハンマー投げの鉄人室伏広治(29=ミズノ)が10連覇を達成し、偉大な父重信氏(58)の記録に並んだ。2度のファウルを犯すなど不調だったが、最終6投目に貫録の82メートル09をマークした。妹由佳(27)も大会記録の66メートル12で優勝した。五輪参加標準記録Bは突破しており、兄妹五輪出場が見えてきた。

 土壇場での修正能力は、さすがだ。室伏の最終6投目はようやく本来の放物線を描いた。80メートルラインを軽々と超え、緑の芝に突き刺さる。「展開としてはうれしいですね。今は強化練習中で記録は無理だと思ってましたから」。自身に厳しい男が、少しだけほほ笑んだ。「アジアの鉄人」と呼ばれた父重信氏に並ぶV10の達成。五輪への通過点とはいえ、うれしくないはずがなかった。

 世界一の技術を持つ男が2度もファウルした。ともに左にひっかけ、大きくそれる失投。会場にため息が漏れた。昨年は9大会で56投しファウルは6投。33投で80メートル超を果たしたが、この日は5回投げても届かない。慣れないサークルにフォームを崩されても言い訳はしない。答えは最終6投目だった。「最後に集中して投げることができた」。試合の中で、振り切りのタイミングを修正していた。

 実は競技の約2時間前。うれしいニュースに心を躍らせていた。妹の由佳が女子ハンマー投げを大会記録で制し、参加標準記録Bも突破。初の兄姉五輪出場が有力となった。「すごくうれしかった。実績ある父、そして僕がいて一番つらい立場。そんな重圧、かっとうを乗り越えた。価値がありますね」。そう話す顔はアスリートのそれではなく兄の顔だった。

 試合後、2人の五輪戦士を生んだハンマー投げ一家の父重信氏は穏やかな表情だった。「V10? 当たり前だよ。これから10連覇してもらわないと」と父超えを期待した。一方、室伏は「40歳まで? 健康に気をつけて頑張ります」と周囲を笑わせた。今後は冬に4度合宿を張った米国遠征を挟み8月のアテネに備える。4年前のシドニーでは雨のサークルに対応できず悔し涙を流した鉄人だったが、この日の6投に大きな進化をみせた。【牧野真治】

[2004/6/7/09:44 紙面から]

写真=82メートル09を投げ、大会10連覇を達成した室伏(撮影・宇治久裕)

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