室伏銀、28センチ届かず/陸上
<陸上>◇22日◇男子ハンマー投げ決勝
室伏広治(29=ミズノ)が銀メダルを獲得した。最後の6投、ここまでトップのアヌシュ(31=ハンガリー)の83メートル19を超えるスローを目指したが、惜しくも82メートル91。満身の力を込めた最後の1投が金メダルに届かず、思わず五輪スタジアムのフィールドにひざまずいた。わずか28センチの差だった。
「最後は届いたかと思ったので残念。今日はハンマー投げの選手にはやりにくい環境だったが、条件は皆同じ。集中力を持ってやれたのは良かった。これが皆さんの励みになればいい。あと2、3年、記録を伸ばしたい。(自分自身の)課題は分かっている」。悔しさをにじませたが、試合後は観衆に何度も手を振り笑顔で拍手に応えた。
フィールドに登場すると、超満員に埋まったスタジアムの雰囲気を楽しむようにスタンドをぐるっと眺めた。
1投目からアヌシュに先行された。第1投は79メートル90。第2投で81メートル60、第3投は81メートル16と80メートルを連発したが、アヌシュの83メートル19を越えられない。5投目には珍しくネットにかけてしまうミスも。この後、フィールドに大の字になって寝転がり、神経を集中させた。
最後の6投目。「ムロフシ、ムロフシ」とコールが起こる中、大きく息を吸った。この日一番の雄たけびを上げて投げた一投。「届いたかと思った」。だが表示された記録はわずかに足りなかった。
後ろのスタンドでは父重信さん(58)がビデオカメラを操作しながら、表情一つ変えずじっと息子に視線を合わせた。6投目の後はやや口元を緩めた。「惜しかったな。でもいい勝負だった。最後の投てきは良かった。立派です」と健闘をたたえた。
[2004/8/23/11:42]
写真=男子ハンマー投げで2位に終わり、肩を落とす室伏広治(共同)
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